「君は人のために死ねるか」

君は人のために死ねるか(CCCD)
結局買ってしまった。
一応うちのプレイヤー(pioneer DV-S757A)では再生出来る。余りしたくないが。
ちょっと低音が弱い気がする。音質としては許容範囲だが、精神衛生的にはよくない。
ちなみにうちのMacでは、普通にリッピング出来た。
(powerbookG4/667 MacOSX 10.3.5 MATSHITA DVD-Multi drive UJ-825S)


Tr.1の原曲の素晴らしさは言うまでもない。
今回のキモは、その他の収録トラックにある。
Tr.2はスパンクハッピーDCPRGで知られるサックスプレイヤー菊地成孔のリミックス。
最初はいいのだが、ちょっと長すぎる気がする。
いずれにせよ、この手のリミックスは苦手な人間なので、フェアな評価は出来ない。
Tr.3は、以前の日記で書いたLive ver.。予想通り、2枚組Liveアルバム「飛翔」からのカット。
これがCD化された事の意味は大きい。
ライブでの杉良の切れ味鋭い語りと歌が、普通に聴けるようになるからだ。
オリジナルver.よりもテンポアップし、ギター弾きまくり、ホーンセクション炸裂振りが素晴らしい。
私は、これが最高の「君死ね」だと思っていた。
しかし、DVDを見てしまった後では、そう言えなくなってしまった。これは後述する。
Tr.4は元々使われていたドラマ用の音源。
MEテープからの収録らしく(効果音も聞こえる)、音質は悪く、こもっている。
テンポが速く、Tr.3と同じ位なので、当初の構想ではこの位だったということか?
(テレビ用なので、その時間制限もあったろうが)
Tr.5はアリスの「チャンピオン」のカバー。
「君死ね」は、「こんな曲を歌いたい」という杉良の言葉から生まれた、という。
このカバーver.は、その言葉を彷彿とさせるような、
追い立てられる様なリズムと語る様な歌い口が素晴らしい。
オブリのギターが弾きまくって煽る煽る。
Tr.6は「大江戸捜査網」の主題歌となっているが、実際にテレビで使われたものかどうかは怪しい。
http://junjuns.akira.ne.jp/junjunland/ooedorecord.html
これによると、主題歌発売は'71年、コロムビアからとなっており、
このアルバムに収録されたのはソニーで再録したものではないか?
実際、ブックレットの出版クレジットを見ると、「1978年」、
初出は「38AH348〜9『あゆみ』」と書かれているので、その可能性が高い。
どちらにしても、Tr.4でも見られる様に、テレビ放送用音源は別録されることが多いので、
「オリジナル」という言い方自体が怪しくなるが。
Tr.7は言うまでもなく代表曲。
Tr.8は実に「らしい」カバー。気持ちよさそうに歌い上げている。
「拍手に包まれ」の歌詞で実際に拍手が起きる場面では、熱い物が伝わってくる。
Tr.9はオリジナルカラオケ。これであなたも杉良。


そしてこの企画の最大の成果は、DVDの映像だ。
さすがに1曲だけ収録で容量に余裕があるせいか、転送レートは常に9Mbpsを越えている。
ただ元の映像ソース自体の問題か、画質はそんなに良くない。
「絆」というライブビデオからのカットだろうか。この辺、ディスコグラフィがないので、はっきり判らない。
動く「君死ね」というだけでも貴重なのだが、これ、音としても素晴らしい。
まず、テンポがものすごく速い。
オリジナルシングルver.が'80年。
Tr.3が'81年。この時点で、既に1.5倍になっている。
その翌年のDVD ver.では、もはや元の2倍速だ。ものすごく煽る曲になっている。
そしてステージ上の杉良は、切れている。
冒頭の語りの巻き舌振りは、あのYAZAWAをも越えているだろう。
首を落ち着きなく小刻みに揺らし、左右に動き回り、
流し目はねちっこく、ウインクまでする。
ホーンは吠えまくり、ドラムのフィルは激しく、「メーン」は更に「メゥエエーン」に。
歌い終わると「ヤー!」とかけ声。これが又決まっている。
終奏部のコードがなんと、ここではテンション付きに変更されている。
前年のライブではなかったアレンジだ。
これが又「パワフルなのにオシャレ」な印象を残す。


しかし、これだけ素晴らしい映像なのに、
それらを全て覆い隠してしまう様な大きな欠点が存在する。
それは、
「1コーラスで終わってしまう」
ということだ!何と2分しかない。


シングル発売後2年経った当時のステージでは、
過去曲として1コーラス扱いだったということか。
結局それしか残ってなかったのだろうが、こんな素晴らしいテイクを見せられた後では、
飢餓感ばかりが残る。
フルコーラス版はないんだろうか?非常に非常に残念である。