今日の小倉一郎

本日昼の「また又・三匹が斬る!」第12話「幻の狐の嫁入り見て死んだ」に、小倉一郎が出ていた。
小倉一郎といえば、気の弱い人物を演じさせれば天下一品。
ここでも、真面目だが気の弱い銀山奉行を好演していた。


最近銀山では狐の嫁入りが出て、
それを見た者はやがて非業の死を遂げるという。
銀山奉行の小倉一郎は、
綺麗だが気の強い奥方に散々浪費され、注意するが
「こんな田舎にもういたくない、私は江戸に帰りたいのだ。
 せめてお金くらい存分に遣わせろ」
と凄まれてそれ以上何も言えず。気の弱い小倉一郎はただ酒を飲むばかり。


やがて、幕府の役人がやって来て、
「最近銀の上がりが少ない、横領しているのではないか」
と疑いをかけられる。その場は平謝りに謝って追求を先延ばしにし、
後で小倉は奥方が横領しているのを咎めるが逆に
「私はあなたと結婚したのでない、銀山奉行と結婚したのだ。
 せっかく銀を蓄えられると思ったのに、あなたは真面目一方で役立たず」
と罵られ、言い返すことも出来ない。
挙げ句の果てに、せめてもと陰腹を切って奥方の罪を被ろうとするが、
その最後の刹那に、実は初めから奥方も役人もグルで、
初めから自分に罪をかぶせて横領するつもりだったと知り、
無念のうめきを上げたところを役人に止めを刺されて死んでいく。
狐の嫁入りとは、横領する銀の運送であり、
それを見た者は悪徳役人達の手下に殺されていたのだ。


勿論最後は、三匹が悪者達をやっつけて物語は終わり、
一応ハッピーエンドっぽく締めくくられるのだが、
小倉一郎は全くの無駄死。
気が弱く奥方には圧倒されっぱなし、役人達に詰問されても申し開きも出来ず、
最後の最後にせめてもと、初めての大決心で死を賭して男気をみせたら、
単に罠にはまっただけだったという救いのなさ。
そこが又、実に小倉一郎的な役柄で、
その小倉一郎濃度の濃さに我々はこぞって涙ぐむのであった。


しかし、小倉一郎俳人にしてギタリストだそうだ。
俳句はともかくギターとは。人は見かけによらない。
ビバ、小倉一郎