中日ドラゴンズ、日本一おめでとうございます
オレ流“非情さい配”で悲願達成!落合竜53年ぶり日本一!
落合監督「言わせておけばいい」 山井交代に賛否両論
いろいろな意味で、凄い第5戦だった。
ダルビッシュの意地。
山井の好投。
落合監督の決断。
岩瀬の凄味。
賛否両論、いや否の方が多いだろう、9回の山井交代。
完全試合を見たいというのは当然のこと。皆が期待し、そしてアナウンスを聞いて溜息をついた。
決断した落合監督を非難する声が多いし、今後も決して消えないだろう。
私も肯定出来ないが、しかし否定も出来ない。
8回にマメを潰した、本人が交代を願い出た等の報道もあったが、
それでもシーズン中なら続投していたかも知れない。
しかし何より、余りにも特異な状況過ぎる。
50余年も逃してきた日本一。
負ければ本拠地胴上げはなくなり、大きくプレッシャーのかかる相手の本拠地へ。
シーズン中は余り活躍出来ず、突然崩れる癖のある山井(なにしろ5番手ピッチャーなのだ)。
優勝決定だけではなく、パーフェクトのプレッシャー。
そして1点差。
ランナー1人出ただけでも、雰囲気は一変する。
あそこで交代させたとき、落合監督は、結果はどうあれ自分に非難が集中する事は判っていただろう。
なにしろ、あと3人で「完全試合で優勝決定」である。
見ていた人間全員が、そんな漫画のような展開に酔っていたと言ってもいい。
(日ハムファン以外は)
そこにまさしく、水をぶっかけて酔いを覚まさせてしまった「ピッチャー岩瀬」コール。
恨まれても仕方がない。
「野球界の人気を落とす」とまで言われて、非難されている。
「プロとは興行」であるとするならば、確かにあのアンチクライマックスは、許されるものではない。
今後も非難され続けるだろう。
だが、それを全て承知の上で、非難を引き受ける覚悟で落合監督は決断した。
勝利を、日本一を全てに優先し、最善と信ずる策を取った。
その腹の座り方は、尋常ではない。
しかも落合監督はかつて2回のシリーズで、温情采配で負けているのだ。
ある意味、日本一から遠ざかったドラゴンズ50余年を、落合監督が引き受けたと言ってもいい。
是非はともかく、その覚悟は見事なものだ。
そして何よりも、その覚悟に答えた岩瀬は、凄かった。
絶対的クローザーがあそこまで歓迎されない登板は、空前絶後だろう。
普段ならどんなプロセスを経ても最終的に勝てばいい筈が、
あの場面、ランナー1人でも出したら「負け」に近い言われ方をされただろう。
しかし岩瀬は、今後も有り得ないであろうプレッシャーの中、3人ピシャリと抑え、
継投ながら「走者ゼロ試合」を完成し、
落合監督の決断が「勝つ」為には正しかった事、
そして2007年の中日ドラゴンズは、確かに強かった事を証明した。
こんな決断が出来る監督、プレイが出来る選手がいるチームに勝つのは、容易なことではない。
それをまざまざと見せつけられる試合だった。
今後も非難の声は止まないだろうし、評価は定まらないだろう。
果たして山井続投で何が起こったか、もはや知る術はないからだ。
だが、「プロは結果が全て」と割り切ってきっぱりケリを付けた落合監督の決断を、
我々が忘れることはないだろう。
永遠に「では続投ならどうなったのだろう?」という疑問を抱きながら。