その1 坂本真綾「木登りと赤いスカート」


私は、この手のリズムパターンに弱いらしい。
中音域の楽器が一定のリズムを刻んでコード進行を提示し、
ベースが高めの音域でメロディックに動く。
自作曲でも、このアレンジが多い。


坂本真綾の歌は、発声する前後の呼吸が印象的だ。
録音時に意図的に入れているのだろうが、
口の開く瞬間、閉じる瞬間までが、生々しく、歌の一部と化している。
発声としては所謂ウィスパリング(囁き)唱法ではないのだが、それに近いニュアンスがある。



この詞を聴くといつも、映画「ベルリン・天使の詩」を思い出す。
「ぼくがむかし天使だった頃に」
「きゅうに君は無口になった」
「見間違うくらい美しくなった君が目の前に立っていた」


無垢な時代を共に過ごし、そして紆余曲折を経て、再び出逢う。
形は変わっても、いやむしろ変わったからこそ。