'80年代洋楽オムニバス
- アーティスト: オムニバス,a~ha,マドンナ,J.ガイルズ・バンド,ストロベリー・スウィッチブレイド,ベリンダ・カーライル,カルチャー・クラブ,シンプル・マインズ
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2002/08/07
- メディア: CD
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'80年代オムニバスも欲しくなった。
今日、中古で安く見つけて即購入。
80年代、私は十代であった。
本来、このオムニバスの対象年齢に丁度ぴったりの筈だ。
だが、80年代当時、私は同時代の音楽にほぼ背を向けていた。
音楽を意識して聞き始めたのが85年。この時点で遅い。
その当初は、ヒットチャート物も聞いてはいたが、
それから直ぐに60年代ものにのめり込み、80年代の音を殆ど聞かなくなる。
周りがカルチャークラブだビリー・ジョエルだ、ガンズだプリンスだと言っている時、
私は1人でビーチ・ボーイズとS&Gとバッファロー・スプリングフィールドばかり聞いている
偏屈な高校生だった。
いかに同時代の音を聞いていなかったか、よく判る話がある。
大学2年の時、軽音の友人宅に同期が集まり、色々とCDを聞いていた。
あるCDがかかった途端、全員が異口同音に
「うわ、懐かしい」「久しぶりだあ」
と言って盛り上がった。私1人、何だか訳が判らず、
「え、これ何?」
と聞くと、
「ええっ、知らないの!?デュラン・デュランだよ!」
と返された。
そのCDは、デュラン・デュランの「ディケイド」というベスト盤だった。
そこに収められた大ヒット曲群、私はただの1曲も知らなかったのだった。
これは極端な例だ。
何も、当時のヒット曲を意識的に排除していた訳ではない。
80年代はラジオばかり聞いていたので、耳にする機会はあった筈だ。
ディラン・ディランは、たまたま認識していなかったのだろう。
ただ、同時代的な体験としての'80年代洋楽に、
大きな欠落部分があることは確からしい。
全盛だったMTVのビデオクリップも見ていない。
当時テレビを殆ど見なかった為(テレビのある間に行くと「勉強しろ」と言われるのが嫌で見なかった)、
こちらは完全にシャットアウト状態だった。
当時の音色も好きではなかった。
流行りだった、ゲートリバーブがかかったスネアドラムの音が大嫌いだった(不自然なエコー感に思えた)。
当時の定番だった、パワーステーション風の分離命スッキリミックスも嫌いだった。
打ち込みが普及してからのリズムも、タイミングがジャストすぎて揺れがなくて気持ち悪かった。
なんでそうなのか判らないが、自分の好みでいくとどうしてもそうなのだ。
自然、60~70年代の音に傾倒していった。音色としてもそちらの方が好みだった。
分離の悪いモコモコミックス。部屋鳴りだけのデッドなエコー。揺れるリズム。
周りに理解者がいなければいない程、意固地になって昔の音に固執していった気がする。
完全に時代からずれていた。
90年代半ばになって、「今の高校生は普通にはっぴいえんどを聞いている」と友人に聞かされて驚いた。
私が高校時代には、「後ろ指をさされて」聞く物だったのに。誇張ではなく。
時代が変わったことを如実に知らされた。正直、うらやましいと思った。自由で。
時代に囚われず、音を純粋に音として捉えられる、全てを相対的に見られる時代になったのだと思った。
今、この80年代オムニバスを聴くと、当時程の拒否反応はない。
「80年代の音色」として既に認知しているからだろうか。
「曲は知っていたけど名前は知らなかった」曲もあり、何だかんだ言いながらも、
自分もその時代を生きていた事が判る。
でもやっぱり、ゲートリバーブが深くかかって、
2拍4拍で「バシーンッバシーンッ」と馬鹿でかい音で鳴るスネアドラムは嫌いだ。
(例 フィル・コリンズ「ススーディオ」)
それが今、バンドで「なるべく2拍4拍にスネア入れない」アレンジをしたがる事に繋がっているのかも知れない。
なんだ、逆説的に、やっぱり俺も'80年代の洗礼を受けているんじゃないか。