土曜グランド劇場「キッド」

http://homepage3.nifty.com/abimaru/drama/dr_list/ntv_sat9.htm
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/7601/kiddo.html
先の記事にも書いたが、
小学生の頃、土曜夜9時は日本テレビの土曜グランド劇場を見ていた。
一番ベタに見ていたのが「キッド」「天まで上がれ!」「あんちゃん」の3本。
中でも「キッド」はほぼ全話見たような記憶がある。


キッドこと木戸一平(堺正章)は熱血刑事、猛烈な連中ばかりがそろった捜査一係にいたが、
余りの強引な捜査振りがたたり、隣の捜査二係に配置換え。
ところがこちらはうって変わってのんびりムード。
全く違ったペースに戸惑うが、ソフトな係長船越英二宅に親子で下宿し、
蟹江敬三ポール牧などの実は一癖も二癖もある人たちに段々馴染んでいく。
後輩刑事古尾谷雅人船越英二の娘(実は養女)真行寺君枝とのもどかしい恋愛劇にも、
ドキドキさせられた。


木戸の奥さんは早く亡くなり(これも強引な捜査に没頭する理由の一つ)、
まだ小学生の一人息子とは、多忙な仕事のためにすれ違い気味。
そこで二人は交換日記でコミュニケーションを取っていた。
「お父さん、あのね」の書き出しで始まる日記は、なかなか父に会えない寂しさを映し出して、
木戸(と視聴者)の涙を誘った。
途中、ポール牧がそれを真似て「愛の交換日記」を息子に頼み込んで始めるが、
息子にすっかり馬鹿にされて落ち込むと言うエピソードがあり、笑った。


後半、木戸の息子は脳腫瘍であることが発覚、手術を受ける。丸坊主になった頭が痛々しかった。
そして最終回前の回で、かつて木戸が逮捕した犯人が木戸を逆恨みし、
手術後間もない木戸の息子を誘拐、木戸を脅迫するという事件が起こる。
木戸に電話し、
「どうだ、息子を誘拐されて辛いか、苦しいか、ざまあみろ」
との嬉しそうな脅しの声は、
「くそー、ちくしょー」
という木戸の苦しげな声と共に、未だに耳に残っている程怖かった。


最終回で遂に犯人の居場所が判明。
犯人が木戸の息子に
「パン、食うか?パン食わせてやっかんな」
と出かけた間に近付く。
戻ってきた犯人が、パンを食べる息子の後ろからベルトで首を絞めようとする瞬間、
刑事達が突入。
無事犯人逮捕と共に
「有難うございます、有難うございます」
と泣きながら頭を下げる木戸に、見ていて涙を禁じ得なかった。


エピローグは全員のその後、幸せな結婚をする者、子供が生まれた者、
船越英二夫妻にすら老いてからの子供が生まれた事を紹介。
最後に、息子とキャッチボールする木戸が、
「で、誰かいい人いませんかね?」
とつぶやいて終了。
最終回のEDでは、メリーゴーランドが回る映像をバックにクレジットテロップが重なり、
ずっとOPを飾った名曲、堺正章「メリーゴーランド」(寺尾聡作曲)が流された。
未だに忘れられない映像である。


堺正章の代表作は、私の中ではこれ。これで刷り込まれてしまったので仕方がない。
もう一度見たいドラマの一つだ。