「ドラえもんサウンドトラックヒストリー」を今更買う
純粋に菊池俊輔の劇伴を集めたものは(特にTV版は)これくらいしかない。
ずっと欲しかったのだが、2枚組の割に5000円近くしたので、今まで手が出なかった。
先日、自由が丘のブックオフにて2980円で発見、やっと購入した。
disc1はTVの劇伴。
なにしろ天下のドラえもんである。
知らなくても知っている曲がガンガン出てくる。
アイキャッチや予告編もはいっている。
聴くだけで場面が浮かんでくる。劇伴のお手本だ。
とにかく懐かしい。
disc2は映画の劇伴(ほとんど組曲)。
こちらになると、いつもの「菊池節」全開なのがなんとも面白い。
日常を描いていたTVと比べ映画版は非日常を描くため、
よりスリリングでスペクタクルな音像を要求されたからだろう。
目をつむって聴くと、時代劇のBGMにしか聞こえない。
ビブラスラップやフレックス・ア・トーンも鳴りまくり。
個人的にもっとも懐かしかったのは、BGMではなく「ポケットの中に」。
私は、コロコロコミック初期1年間の読者である。
ドラえもんがたくさん載っている雑誌として、創刊当時のコロコロコミックが
当時(昭和50年代前半)の小学生にどれだけ衝撃だったかは、もはや言い尽くされている感がある。
そして、ドラえもんがTVアニメ化され、そのまま盛り上がって最初の映画版「のび太の恐竜」公開まで、が
私にとってのドラえもんリアルタイム体験の全てと言っていい。
私にとって、ドラえもん映画とは「のび太の恐竜」1作だけである。
「私のドラえもん」は、そこまでで終わっている。
が、当時、映画を見る事は出来なかった。
映画館のない町に育った小学生には、見に行けるとすら思えなかった。
コロコロに掲載されていた「のび太の恐竜」の原作版漫画や、
特集記事の図版などから想像して我慢するしかなかった。
その想像のもっとも大きな源泉の一つが、この「ポケットの中に」という歌だった。
TV版では決して聴くことの出来ない、映画だけの歌。それがどれだけ小学生の中で大きな驚異の存在だったか。
CD2枚組の最後にこの曲が流れてきたとき、思わず泣きそうになった。
記憶の中のメロディとはちょっぴり違ったけれど、今でも「ポケットの中に」は特別な憧れの歌なのだ。
その後「のび太の恐竜」を見たかどうかは忘れた。TVやビデオで見た様な気もするが、はっきり覚えていない。
一番見たかった「初ドラえもん映画封切り」時以外では、余り意味はないのだろう。
私は鑑賞したかったのではなく、体験したかったのだ。あの日、あの時に。