ロバジョン

近所の古本屋で購入。1,320円。
ロバート・ジョンソンは、元々、高校時代にこのLPを持っていた。
King of Delta Blues Singers

King of Delta Blues Singers

ご多分に漏れず、クリーム「Crossroads」の原曲を聴きたくて買ったが、
戦前の録音はもちろん、黒人音楽すらまともになんて聴いたことがなかった当時、
それまで聞き知っている音楽と全く違う質感、強烈な生々しさに唖然とした記憶がある。
小節数や拍子が変わってもお構いなし、思いつくまま弾き歌う。
最初はどう反応していいのか判らなかった。
それでも、何度も聴いている内に段々慣れてきて、
たった1本のギターでこれだけのグルーブを作れるとは凄い、
と感じ始めた。


そこからブルースの泥沼にずぶずぶと…、となればよくあるブルースファンの誕生話なのだが、
私の場合、ブルースはそこから大して進まなかった。
やはり、根がポップス畑なのだろうか。そちらはそちらではみ出したのだが。


それでも、'80年代終りの田舎の高校生で
ロバート・ジョンソンに手を出した人間など周りにはおらず、
それなりのステイタスシンボルとして機能したものだ。
「俺はこんな物持っている(それだけのマニアだ)」と。
今から考えれば、ドングリの背比べだったのだが。


その数年後、2枚組CDで出た全曲集がバカ売れしてびっくりしたものだ。
当時、ちょっと音楽好きを自任する人間は大抵これを買って、
「なんだかよく判らなかった」
と言って売る、というのがお決まりのパターンだった。
現在、この全曲集は中古CDショップの定番在庫だ。同じ道を通ったものが多かろう。
私は、なまじ中身を知っているだけになかなか手を出し難く、
「いつか買おう」と思いつつ、買おうとすればいつでも買える、という事もあって見送ってきた。


値段が今まで見た中で最安値だった事、他に買うものがなかった事が決め手になり、
とうとう今日購入に踏み切った。
高校時代に買ったのは「King of Delta Blues Singers vol.1」の方だけだったから、
「vol.2」収録曲は今回初めてまともに聴く事になる。
15年かかって、遂にロバート・ジョンソン制覇だ。
高校時代のケジメをやっとつけた、今そんな気がしている。