「絶唱」

1/3にNHK-BSで、上記の映画を放送していた。
http://www.ontvjapan.com/genre/detail.php3?tikicd=0002&hsid=200501030014016
http://www4.ocn.ne.jp/~haru28/nakira10.html
究極の悲恋物とも言える話。
小林旭といえば「渡り鳥シリーズ」に代表されるアクションだが、
まず最初に名を知られたのは、この文芸作品なのだ。
一応主演ではあるが、実質的にはヒロイン役の浅丘ルリ子の方がメイン。


最後、死者に花嫁衣装を着せて結婚式をやってしまうという、
一歩間違えばグロテスクな場面がある。
だが、視聴者はそれまでの純愛場面の積み重ねがあるので、
感情移入して不思議に思わない。何ともすごいシーンである。


彼はこの後すぐに、「渡り鳥シリーズ」でアクションスターとしての地位を確立し、
二度とこういったメロドラマを演じることはなかった。
路線が決まる以前の過渡期故の珍品といえよう。
それでも共演者は変わらずに浅丘ルリ子だというのがすごい。
むしろ浅丘ルリ子の方が化け物なのかもしれぬ。


その後、「絶唱」は2回リメイクされている。
'66年に舟木一夫&和泉雅子、'75年に三浦友和&山口百恵で。
この内、私は後者を昔TVで見た記憶がある。
20年以上前で断片的な記憶しかなく、死者の花嫁シーンなどは覚えていないが、
戦争中のえらく深刻な話で、山口百恵が「ヨイトマケの歌」に合わせて土方仕事をするシーンなどが
妙に印象に残っている。
(今回オリジナルの小林旭版を見たら、ほぼ同じシーンがあったのでなんだか笑ってしまった)


しかし、今となって見てみたいのは、舟木一夫版である。
あの、「深刻」を絵に描いたような細身の舟木一夫がこんな悲恋物をやったのだ。
多分、不幸に輪をかけて相当にいたたまれない出来になっているに違いない。
未聴だが、舟木は同名の歌もヒットさせている。
映画監督の金子修介は著書「失われた歌謡曲」(1999小学館刊)で、この曲を
「深刻歌謡」
と名付けている。
相当「深刻」な歌なのだろう。ああ、聴いてみたい。
NHK深夜便ででも流してくれないだろうか(放送媒体で期待できるとしたらNHKくらいだ)。
3時台の「にっぽんの歌こころの歌」で舟木一夫特集希望する。