ヒデキ、ひろみ、そして内山田洋


年末、CSフジテレビ721にて、かつての歌番組「夜のヒットスタジオ」の集中放送が行われていた。
上の写真は1981年11月10日放送回、オープニング歌リレーでのひとこま。


なんという奇跡の一瞬だろう。
並んで手を掲げて歌う3人。
それぞれの表情に、それぞれの性格、それぞれの人生が表れている。
熱く歌う西城秀樹
天真爛漫に笑う郷ひろみ
そして、人生の年輪を感じさせるような、静かな微笑を浮かべる内山田洋
まるで三段オチのようだ。


前の2人はまだ若い。今が盛りの勢いに溢れている。
当然だが、今後の人生に起きる起伏にはまだ気付いていない。
そんなスターの輝きに満ちた2人を、後ろから見つめる内山田洋
クールファイブとしてヒット曲も出し、世間的には成功者と呼ばれる部類に入るが、
内山田洋自身には、彼らのようなスターの輝きはない。
それは求めても得られる物ではない事は、若い頃ならともかく歳を取った今ではもう充分に判っている。
その笑顔には、既に起伏を経験してきた中年の疲れ、恐れ、嫉妬、悲哀、そして慈愛がこめられている。


この後、郷ひろみには松田聖子との悲愛、二谷友里恵との結婚離婚が、
西城秀樹には脳梗塞が起こることを、今の私たちは知っている。
それを知っているからこそ、この時の輝き、笑顔が心に染みる。
そして内山田洋は、それが何であるかは判らないにしても、
自分の経験に照らし合わせて、
彼らが今後そういった人生の起伏を経験していくことを予感していただろう。
それらへの深い思いやり、年長者からの暖かい視線が込められた、微妙な表情。
人生の重みを感じさせる笑顔である。何とも味わい深い。
【あの人は今こうしている】クールファイブの内山田洋 2005年10月25日 掲載


そんな内山田洋も、今年亡くなった。
謹んでお悔やみ申し上げます。