制服向上委員会ファンクラブ会報ビデオの大群来たる


以前仕事先で一緒だった、アイドルマニアの人から宅配便で到着。
少し前に、「SKIのビデオ送る」と連絡があった。
たまにアイドル映像を集めたDVDを送ってもらっているので、
それかと思っていたら、段ボール箱でどーんと来た。


制服向上委員会とは、「SKI」の略称でも知られるアイドルグループ。
http://www.ski-official.com/
'90年代前半に結成、その名の通り制服を着て、「清く正しく美しく」歌って踊るのがコンセプト。
当初はメジャーレーベルからCDを出していたが、いつの間にか自分たちのレーベルを作り、
「自主制作アイドル」というヘンな位置にいた。そして今もいる。
(宍戸留美という人もいたが)


'80年代のアイドルブームを経て、'90年代のアイドル受難時代を迎えた時、
対処の仕方が色々分かれた。
「アイドルは何も芸がない、ただ可愛いだけ」という批判を受け止め、
芸を磨く、いわば「本物に近付く」方面に向かった代表が、東京パフォーマンスドール(TPD)。
彼女たちは「ひたすら練習するおニャン子クラブ」であった。
芸を磨き、ショー自体のクオリティアップを図ることで、客を呼ぼうとした。
その方向性は決して間違ってはおらず、実際横浜アリーナクラスでライブを行えるメジャーアイドルになった。


しかし、それをよしとしない人々もいた。
彼らはむしろ「何も出来ない、可愛いだけ」という部分をこそ愛していたのだ。
そういう人たちのニーズを満たす方向、つまり、TPDを一方の極として、
その正反対の極を向いたグループが、SKIだった。


彼女たちも勿論練習はする。が、TPDのスポ根的、求道者的なそれとは比べものにならない。
むしろ「普通の女の子が学校の部活で和気藹々と楽しくやっている」ような雰囲気こそが売りだった。
同じ踊りでも、TPDは、視野の向こうにブロードウェイが見えてくる本格的な「ダンス」なのに対し、
SKIは学校で行われる「マスゲーム」である。
これはもう好みの問題であって、どちらがいいかは全く別な話だ。


SKIは「普通の女の子」アイドルの極北である。
上記写真中、単色レーベルのビデオはSKIファンクラブビデオ会報だ。
以前何本か見せて貰ったのだが、殆どが家庭用ビデオカメラの固定視点でのダラ撮りである。
一般売りではない、という性格もあるのだろうが、
編集が殆どなされていない、普通の人が見るには大変辛いものである。
内容も、構成などあってなきが如し、だらだらとした喋りが延々続く。
普通に考えればカットするだろう、と思われるようなトチリシーン、やり直しシーンまで、
全くそのまま収録されているのだ。ちゃんと一般向けにプロデュースされたアイドルではあり得ない。
ここまで来ると、意図的なものを感じる。


ダラ撮りを見ていると、いわば女子高生のプライベートビデオをそのまま見ているような感覚に陥る。
SKIにファンが求めたであろう「素人っぽさ」が充溢している。
そしてそれは、TPDには全く失われているものだ。
そう考えると、これはファンのニーズに理解した上で、あえてやっている事なのかも知れない。
(単なる手抜きの可能性も充分あり得る)


見続けると一種のトランス状態になるような、麻薬的なビデオではあるが、
私はSKIも「ネタ」として面白がっているだけで、純粋なファンではない。
ので、こんなにあっても見るのは辛いし、ちょっと置き場所に困る。
欲しい人はいるだろうか?貴重なものであることは間違いない。


一時期のお宝ブームも落ち着いてしまったし、
Yahoo!オークションに出しても、買い手付くのかなあ…。